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divorce
離婚・男女
2022.04.26

子の引渡しが認められるための判断要素

Q質問内容

昨日,配偶者が小学5年生の子どもを連れて出て行ってしまいました。取り戻すために,監護者指定と子の引渡しの審判を申し立てる予定なのですが,どのような場合に申立てが認められるのでしょうか。

A回答内容

まず,配偶者が子を連れて別居してしまったケースにおける,子を取り戻すための具体的な手続としては,①子の監護者指定の審判,②子の引渡しの審判,③それらの仮処分(審判前の保全処分)が考えられます(取り戻すための手続についてはhttps://mkeyaki.jp/case/642/をご参照ください)。

そして,②子の引渡しは,①子の監護者に指定されることを前提としている以上,考えるべきなのは「いかなる主張が認められれば子の監護者に指定されるのか」ということになります。この点について民法では具体的な定めはありませんが,「子の利益」(民法766条1項,同819条6項,同820条等)という言葉が用いられています。

では,夫婦のどちらを監護者とするのが「子の利益」にかなうと裁判所が考えるのかですが,現在の実務では,別居前・後の監護状況,双方の監護能力(監護体制),子の事情の観点から,①「主たる監護者」,②監護の継続性の原則,③子の意思尊重の原則,④面会交流の許容性(「フレンドリー・ペアレント・ルール」),⑤きょうだい不分離の原則,⑥監護開始時における違法性,といった要素を考慮して判断されています。
ただ,実際の審判例においては,①「主たる監護者」を認定できる場合,その主たる監護者による従前の監護及びその監護能力や監護体制にも問題がないのであれば,その「主たる監護者」に監護を委ねるのを原則とする(つまり,主たる監護者による監護に特段の問題が無ければそのまま同人が継続して監護する),という方針が採られていることが多い印象です。

そのため,現状最も重要な要素は「主たる監護者」に当たるか,ということになります。

そこで「主たる監護者」とは,別居前の時点で,子の日常の世話を主に担っているものをいいます。したがって,「主たる監護者」の認定(ひいては監護者の認定)においては「経済的に家庭を支えた」といった主張はあまり意味がありません。いかに別居前の時点で,実際に子の監護(日常の世話)をおこなってきていたかを主張するべきです。量的・質的にどこまで子の世話をできていたかがポイントになります。

ただ,近年はいずれが「主たる監護者」に当たるか微妙なケースもあり,その場合は上述のようなその他の要素を含めて総合考慮されることになりますし,仮に「主たる監護者」が判断できる場合でも,他の状況から例外的に「主たる監護者」でない親を監護者とするのが子の利益に適うと判断されることもあります。
上述の②監護の継続性の原則のとおり,別居後の生活が長く続けば続くほど「別居後の状態を継続させた方が良い」という判断になりやすいため,申し立ては早期にする必要がございます。まずは見通しについてご相談ください。

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