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divorce
離婚・男女
2020.12.09

離婚調停を申し立てられた場合の対応

Q質問内容

先日,突然裁判所から通知が届きました。家を出て行った夫が離婚調停を申し立てたようです。調停は弁護士を入れなくても自分でできるとも聞きましたが,本当ですか。

A回答内容

法的手続によって離婚する場合,原則としてまずは裁判ではなく離婚調停(正式には「夫婦関係調整調停」と呼んでいます)を経る必要があります(家事事件手続法257条)。

離婚を申し立てられるくらいの状況であれば,当事者同士の話し合いは通常困難です。そのため,家を出ていかれた,と思っていたら離婚調停を申し立てられていて,ある日突然裁判所から書類が届いた,というケースも良くある流れです。

離婚調停を申し立てられた側に裁判所から届く書類は,申立書の写しのほかに,初回の調停の期日が記載された紙や,答弁書(申立書に対する反論・意見を書く書面)書式等になります。後述のとおり,比較的分かりやすい記載になっています。

(離婚)調停は,裁判官(あるいは調停官)1名と2名の調停委員で構成される調停委員会がおこないます(家事事件手続法247条及び同248条)。ただ,実際には裁判官は調停の進行に直接関わるということは少なく,(裁判官の指揮のもとで)調停委員が進行することになります。なお,離婚調停の場合,通常は男女1名ずつの調停委員が担当します。

離婚調停で決める内容は,①離婚するかどうか,②(離婚する場合かつ子どもがいる場合)子どもの親権者,③(離婚する場合)夫婦の財産をどのように分けるか,④(離婚する場合かつ子どもがいる場合)養育費をどうするか,⑤(離婚する場合かつ子どもがいる場合)面会交流(別居親と子どもとの面会の内容や頻度等)をどうするか,が基本的なところです(③から⑤については,必ずしも離婚に際して決める必要はあないので,事案によって省略されます)。

調停期日においては,原則として双方当事者が交互に調停室に入り,そこにいる調停委員に自分の意見・主張を伝えていくことで,調停委員を通じて上記①ないし⑤の内容等について順に話し合っていく,ということになります。交互に調停委員に話すことになるので,当事者同士が直接顔を合わせることはありません(初回の調停期日と調停成立時に同席を求められることがあります)。

調停自体は,調停委員から随時フォローが入りますし,答弁書等についても,書式がしっかりしているので提出は比較的容易です。そのため,訴訟に比べて法律に詳しくない当事者本人が進められるような制度設計になっています。

そのため,調停の段階であれば自分でやる,と考える方も多くいます。

正直,経済的なご負担や弁護士に依頼することの煩わしさを考えると十分にあり得る選択と思いますが,いかなる場合においても「一人で問題ない」とは言い切れない部分があります。

「訴訟(審判)になったらどのような判断がされるか。」を踏まえず,法律上・実務上の有利・不利を認識しないまま調停での話し合いを進めてしまうと,応じる必要ない事項についても(調停の流れで)受け入れてしまうことが良くあります。これは,調停が話し合いであり,その結果決まることに法律による制限がないからこそ生じる落とし穴です。

調停が成立した後になって「法律上の考え方であれば実は支払う必要がないお金」を支払うことになっていた,と気がついても基本的にどうしようもありませんから,やはり調停であってもあらかじめ見通しや落としどころを想定したうえで臨む必要があります。

また,調停で合意が成立する際には,合意の内容をまとめて条項(「調停条項」いいます)を定める必要があり,この調停条項(を記載した調停調書)が法律上の効力を有することになります(家事事件手続法268条1項)。この調停条項についても,実は注意点・検討事項があります。例えば,調停においても離婚届を作成する形にするのか否か(戸籍の記載が変わります),どちらが離婚の手続をするのか(結婚によって性が変わった人は,離婚の際の戸籍を選ぶことになりますので,通常はそちらが離婚手続をすることになります),といった細かい点から,条項の文言や定め方が調停で決めたことを実現するための「強制執行」の可否に影響することもあります。

特に面会交流において多いのですが,文言の定め方により,強制執行ができない調停条項になっているケースがあります。そうすると,決めごとを相手が守らなくとも,強制的に実現する手段が無く,調停調書が「絵に描いた餅」になってしまいます。

もちろん,調停は法律に縛られない柔軟な対応が可能なので,うまく利用すれば大きなプラスになります。自分で進めるにしても,まずは一度ご相談されることをお勧めします。

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