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public-worker
公務員
2020.10.07

教育公務員の懲戒の流れ

Q質問内容

東京都で教員をしています。今回,体罰を理由として懲戒処分を受けるかもしれません。私はどのように処分されるのでしょうか。

A回答内容

まず,公立の小・中学校に勤務する公務員に対する懲戒処分の流れを説明します。

前提として,公立の小・中学校における懲戒処分権者(懲戒処分をおこなうもの)は,任命権者である都道府県教育委員会になります(地方教育行政の組織及び運営に関する法律37条,同38条)。

ただし,教育委員会には,都道府県が設置するもの(都道府県教育委員会)と特別区を含む市町村の設置するもの(市町村教育委員会)があり(地方教育行政の組織及び運営に関する法律2条),都道府県教育委員会は懲戒処分をおこなう前に,原則として市町村教育委員会の内申を受ける必要があります(同法38条1項)。

したがって,懲戒処分をするに値し得る教員公務員の非違行為があった場合(服務事故が認められた場合),上記のとおり都道府県教育委員会に内申をおこなう市町村教育委員会が,事実関係等の調査・報告(内申)をおこなうことになりますが,当然市町村教育委員会は事故の事実を当初から知っているわけではないので,初めに市町村教育委員会に報告をおこなうのはその学校の学校長になります。そして,学校長は,市町村教育委員会に対して,懲戒処分に関する「意見」を述べることができ(同法39条),市町村教育委員会はこの「意見」を内申に付さなければならないとされています(同法38条3項)。

つまり,①服務事故(の可能性のある行為)を認知した学校長は,まず市町村教育委員会に報告する,②報告を受けた市町村教育委員会は,学校長とともに事実を確認して報告書を作成し,都道府県教育委員会に内申する(内申に学校長は意見を付することができる),③これを踏まえて都道府県教育委員会が懲戒処分をおこなう,という流れになります。

なお,公立高校の場合は任命権者が異なるため(教育公務員特例法11条),市町村教育委員会が関与しないことがあります。

以上を踏まえて,どの程度の処分がなされるかですが,教育公務員の場合,各都道府県教育委員会の一部が懲戒処分についての考え方を公表しているため参考になります。

例えば,東京都教育委員会は,「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定」を公表しています。これによると,まず,総論として,「⑴非違行為の態様、被害の大きさ及び司法の動向など社会的重大性の程度,⑵非違行為を行った職員の職責、過失の大きさ及び職務への影響など信用失墜の度合い,⑶日常の勤務態度及び常習性など非違行為を行った職員固有の事情」を踏まえて,「適宜,非違行為後の対応等も含め,総合的に考慮のうえ判断する」としたうえで,行為ごとに処分量定が設けられています。「体罰」については比較的細かく基準が設定されており,例えば単に「体罰を行った場合」には戒告,「常習的に体罰を行った場合」には減給・停職,「常習的に暴言又は威嚇を繰り返した場合」には戒告・減給・停職,「体罰により児童・生徒を死亡させ、又は児童・生徒に重篤な後遺症を負わせた場合」には免職,と定められています。

上記の総論のとおり,総合的な考慮によって処分は決せられることになりますが,例えば「常習性」が認定されるかによって,戒告が減給・停職になるわけですから,具体的な行為が,処分量定上のどのカテゴリーに含まれるのか,まず重要になります。そのうえで,総論に記載されているような種々の事情を積み重ねることになります。

以上が簡単な説明ですが,懲戒処分についての具体的な対応は多岐にわたりますし,事案ごとの工夫も必要です。早期の対応が必要です。

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