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criminal
刑事・少年事件
2020.10.06

違法なキックバックの受領

Q質問内容

会社の営業をしているのですが,先日会社から私が取引先からキックバックを受けていることを指摘されました。どう対応するべきですか。

A回答内容

「キックバック」とは,リベートとも呼ばれるもので,「割戻」を意味する単語です。本来は,売り手側から買い手側に対して,あらかじめ決めていた率や金額を返金あるいは減額することを意味するもので,それ自体は一般的に行われているものです。

しかし,会社の了解なく,個人的に取引先から金銭を受領している場合には,民事上,刑事上の問題が生じます。例えば,会社従業員が,取引先(下請け等)と共謀して,取引先の会社に対する請求金額にあらかじめキックバック分を乗せて請求させて,取引先からキックバックを受領するケース等は,民事上は会社に対する不法行為(民法709条),刑事上は会社に対する詐欺(刑法246条)や背任(刑法247条)が成立する可能性があります。

特に,刑事上の責任は,過去の裁判例等からすると,キックバックの金額が大きい場合には,初犯であってもいきなり実刑になる可能性もあります。

他方で,上記のとおり,キックバックの授受自体は通常の取引でも行われることがあるため,違法性を直接導くものではありません。そのため,刑事上(民事上)の責任が生じるためには,①キックバックの受領の事実,②(個人的な)キックバックの受領によって会社に損害が生じた事実が必要です。特に,(捜査機関がこういった事案について謙抑的な対応をとりがちなこともあって)この②会社の損害の立証は難しいケースも多く存在します。

そのため,まずは事情を検討して,そもそも違法性のある形でキックバックを受けとっていたのか,仮にそれによって会社に損害を与えてしまった場合,その金額(=補填するべき金額)はいくらなのか,を把握する必要があります。

それを踏まえて,会社との間で話し合いを持つことになります。具体的には,損失補填のための話し合い,ということになります。

会社の対応としては,①会社に損失があるのであればその補填,②自社の従業員への対応として(懲戒処分のほかに)刑事告訴や被害届の提出が挙げられるところですが,やはり会社として優先する目的としては①損失の補填であるため,合意の上でこれを十分におこなうことができれば,②刑事事件化に移行しない可能性が出てきます。

そのため,会社との間で損失の補填を趣旨とする合意を締結することは非常に重要になります。

他方で,会社としては,「会社の考える」金額の支払いを認めさせるような合意を当然求めることになります。仮に会社との間で合意が成立してしまえば,(仮にキックバックに違法性がなくても,あるいはキックバックによる損害とはいえなくとも)合意した金額の支払いが義務付けられるため,注意して話し合いを進める必要があります。

要するに,求められる対応としては,受け取ったキックバックの違法性と損害について検討したうえで,不合理な内容にならないように気を付けながら,会社側と誠実な話し合いを持って合意成立を目指す,ということになります。

もちろん,損失の補填について合意できたとしても,実際に支払いをしなければならないため,一括で支払えない場合は,会社側が納得して支払いができるような弁済の仕方を提案する必要があります。例えばできるだけ分割の回数を少なくする,支払う金額に分割での弁済を認めてもらうための上乗せをする,人的・物的担保を立てるなどの方法が考えられるところです。

上記のとおり,会社としては,損害の補填の見込みがないのであれば,刑事告訴を躊躇う必要が無くなるため,説得力ある提案ができるかがポイントです。

早期の検討と対応が重要になります。まずはご相談ください。

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