Q質問内容
亡くなった父について,裁判所から「遺言検認の通知」が届きました。どう対応すれば良いですか。
A回答内容
検認とは,家庭裁判所で,検認の日現在における遺言の内容を明確にする手続のことです。自筆で作成された遺言(民法968条の自筆証書遺言,同970条の秘密証書遺言)については,これを見つけた(保管していた)相続人が,相続発生後遅滞なく家庭裁判所に遺言書の検認を申し立てなければなりません(民法1004条)。
この検認の手続は,遺言書の偽造・変造を防ぐ目的でおこなわれるものですから,封がしてある遺言書については,この検認の手続においてはじめて開封されなければならないと定められています(民法1004条3項)。
検認手続が申し立てられた場合,裁判所は相続人全員に対して,検認の期日についての案内を送付します。検認の期日では,裁判官によって①封がされている場合には(期日に出席した関係者の立ち合いのもとで)開封された後,②遺言があった状況,遺言の内容等が確認され,③その内容が遺言書の写しと併せて検認調書に記録されることになります。
つまり,裁判所から遺言書の検認(期日)の通知が来た,ということは,お父さんの相続人の誰かがお父さんの遺言書を保管しており(あるいは死後見つけた等の理由で),その検認を裁判所に申し立てたことを意味します。
検認の手続は,上記のとおり,あくまでも「検認をした時点での遺言書の内容を調書に記録することで,その後の偽造・変造を防ぐ」ための手続ですから,検認手続自体は,遺言の有効・無効を決めるものではなく,検認の手続内で,その有効性等について争うことはできません。
そのため,検認の申し立てをした相続人以外の相続人が,検認の期日に裁判所に行くかどうかは自由です。
ただ,検認の手続は,遺言書の原本を(所持している相続人の意向にかかわらず)見ることができる貴重な機会になります。また,その場で裁判官から申立人に保管状況等についての質問がなされることもあります。質問事項等については,裁判所によって作成される検認調書に記載されることもあり,記載されれば後日謄写もできますが,記載が省かれていることもありますし,調書に現れない相続人同士の会話や雰囲気等も,今後の対応の参考にすることができます。
そのため,仮に遺言に疑義がある場合はもちろん,その後の遺産の分配に関与する必要がある場合には,可能な限り出席することをお勧めします。
遺言が存在していた,ということは,状況によっては遺言の無効を訴えたり,遺留分侵害額請求等をしたりすることが必要になります。検認の通知はそのスタートですので,早期にご相談ください。