0422-24-9647
受付時間 9:00~19:00(土日祝除く)
inheritance
相続・遺言
2020.09.25

死後の遺産の処分

Q質問内容

父が亡くなった後,同居の兄が勝手に父名義の口座からお金を引き出して使ってしまっていたようです。どうすれば良いですか。

A回答内容

これまでは,相続発生後から遺産分割が成立するまでの間に,遺産に当たる財産が相続人の一人によって処分された場合の対応(処理)は法定されていませんでした。遺産は一度処分されて散逸してしまうと,「遺産」ではなくなるため,遺産分割の対象にならない,という前提があるためです。

特に,その相続人(本件だとお兄さん)の法定相続分の範囲内で処分されてしまうと,不当利得(民法703条)も不法行為(民法709条)も成立しない可能性が高いことから,他に(適正な)生前贈与等が絡む場合,引き出された側の相続人が損をする不公平な結果になることもありました。

これを受けて,平成30年に改正(令和元年7月1日施行)された相続法では,民法906条の2第2項が新設されました。

この規定は,相続人が分割前に遺産を処分した場合,相続人全員あるいは処分をした相続人以外の全員の同意により,処分された財産を遺産としてみなすものです。

そのため,例えば被相続人がお父さん,相続人が子ども2名のみで,引き出したのがお兄さん,というケースでは,お兄さんを除いた相続人があなた1人だけであるため,あなたの「同意」のみで,当該処分(費消)された預金も遺産に含めて遺産分割がなされるということになります。

そしてこの場合,遺産を処分した相続人以外の相続人のみが同意しているというケースなので,処分した相続人が合意することは通常想定できないため,基本的には調停ではなく審判で判断されることになります。

なお,この処理は当然のことながら「遺産に当たる財産が相続人(お兄さん)によって処分された」という事実を前提(要件)とするものです。

そのため,これを主張する側で,①該当するものが遺産に当たること(例えば被相続人から生前に贈与された財産ではないこと等),②処分が当該相続人によること,について立証しなければなりません。ちなみに,家事審判の場面なので,厳密には民事訴訟でいう「立証(責任)」とは異なります(家事事件手続法56条等参照)が,実際の進行においては具体的事実を主張し,立証しなければならないことに変わりはありません。

また,以上は審判手続まで進むことを想定していますが,当然,その前段階として遺産分割調停や,あるいは話し合いによる解決ができるのであればより迅速かつ簡便ではありますから,事案によって柔軟な対応が必要です。

遺産分割はいろいろな問題が絡むので,早い段階で一度ご相談ください。

〒180-0003
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-11-11
ビィビィインターナショナルビル402号室

0422-24-9647
受付時間 9:00~19:00(土日祝除く)

アクセス:JR中央線/吉祥寺駅 徒歩2分