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inheritance
相続・遺言
2020.09.24

生前の預金引き出し

Q質問内容

亡くなった父の通帳を見たら,多額の使途不明金がありました。どうやら父と同居していた兄が生前お金を引き出していたようです。取り戻すことはできますか。

A回答内容

仮にお兄さんがお父さんに無断で出金をしていたことを認めるのであれば,その分のお金を遺産に戻すことや,遺産分割の際に出金した分を考慮することができますが,これを認めない場合が問題です。

理屈としては,亡くなられたお父さんのお兄さんに対する不当利得返還請求権(民法703条)あるいは不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条)を相続することで,(法定相続分相当額について)各相続人がそれぞれお兄さんに対して請求することになります。

ただし,請求が認められるためには,お父さんの贈与や,共通で使う生活費として引き出されたものではないこと,つまりお父さんに無断で預金が引き出されたことを証明することが必要です。

例えば被相続人(お父さん)が認知症等で意思表示ができない状態であれば,無断の出金が認められやすいといえます。

こういった「無断で出金した」と思われるような事情を調査・証明するためには,医療記録や介護記録(介護認定記録)を取得する必要があります。

ほかにも,被相続人自身による出金ではないことを証明するために,出金場所がわかる銀行の取引履歴や払い戻し請求書の写し等を取得することもあります。

これらの調査を踏まえて,被相続人の生前に,被相続人に無断で出金がされていたことが証明できそう,ということになった場合でも,どのような手段でこれを請求できるかについてはさらなる検討が必要になります。

上記のとおり,この請求は不当利得返還請求(あるいは不法行為に基づく損害賠償請求)であり,遺産分割の問題ではないことから,(お兄さんの同意がない限り)遺産分割の調停では取り扱うことができず,通常の訴訟で判断されるのが原則ということになってしまいます。そうすると,遺産分割に関する手続(遺産分割調停)のほかに,引き出されたお金の請求をするための訴訟も申し立てる必要が生じることになります。

もっとも,この負担は相手方(お兄さん)も同様であることを踏まえて,事案によっては,まずは遺産分割協議(調停)を申し立て,その中で解決することに同意させるように交渉・説得することも考える必要があります。

遺産分割協議と並行して対応を考える必要がありますし,時間がたてば証拠の確保が難しくなることもあります。早めにご相談ください。

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