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inheritance
相続・遺言
2020.09.23

遺言の種類

Q質問内容

遺言を作成しておきたいのですが,具体的にどうすれば良いでしょうか。

A回答内容

通常用いられる遺言の方式としては,大きく①自筆で書いて,自分で保管しておくもの,②公証役場で作成し,公証役場で保管しておくもの,③自筆で書いた遺言の存在を公証人に証明してもらうもの,の3つがあります(民法967条)。

まず,①自筆で書いて,自分で保管しておくものは,自筆証書遺言といいます(民法968条)。この遺言については,自分で手間をかけずに書くことができる,遺言の中身を自分だけの秘密にできる,費用が掛からない,というメリットがある一方で,隠匿や紛失,変造等の危険があるほか,形式を守っていない場合に無効になったり,意図しない効果が生じてしまったりすること,相続発生後(亡くなった後),相続人が家庭裁判所で検認の手続をおこなわなければならない(民法1004条)ことがあります。

なお,形式の一つとしてこれまでは「全文,日付及び氏名」を全て自筆で書く必要がありましたが,平成30年の相続法改正により,遺言に添付する相続財産の目録については,目録のページごとに自筆の署名・押印があれば足りることになりました(民法968条2項)。

また,上記のとおり,自筆証書遺言のデメリットとして,隠匿や紛失,変造等の危険がありましたが,これに対応して,自筆証書遺言を法務局(遺言保管所)に預けることができるようになりました(法務局における遺言書の保管等に関する法律)。さらに,この保管制度を用いた場合には,家庭裁判所での検認手続も不要です。

続いて,②公証役場で作成し,公証役場で保管しておく公正証書遺言(民法969条)についてご説明します。これは,事前に公証人による内容の確認があるため,一定程度,遺言が無効になってしまう可能性を防げること,公証役場で保管されるため,第三者に変造や隠匿をされる可能がないこと,自筆証書遺言の場合必要であった,遺言書の検認手続が不要であること等がメリットになりますが,作成にあたって証人を2名用意する必要があり,かつこの2名には遺言の内容が分かってしまうこと,公証人への報酬等の費用がかかること,公証人との打ち合わせ等,作成までの手順が(自筆証書遺言に比べて)煩雑で時間がかかること等のデメリットがあります。

最後の遺言は,自分で作成した遺言を封筒に入れ封をしたうえで,公証人にこれを証明してもらう③秘密証書遺言(民法970条)です。これは,自筆証書遺言と異なり手書きで作成する必要はないうえ,公正証書遺言と異なり公証人や証人に遺言の中身を見られないという点がメリットになりますが,やはり中身を自分で作るので無効になるリスクがあること,費用が掛かること,家庭裁判所の検認手続が必要であること,といったデメリットが存在します。なお,この③秘密証書遺言は,他の2つの方式に比べ,現状あまり利用されていない印象です。

以上のとおり,基本的には,手軽に作成したいのであれば自筆証書遺言,ある程度しっかり作成したいのであれば公正証書遺言ということになろうかと思いますが,いずれの方法も,それぞれメリットデメリットがあるため,具体的な事案に応じた選択が必要です。

なにより,死後の紛争の回避を考えるのであれば,遺言はその内容こそが重要です。平成30年の相続法改正によって,配偶者居住権(民法1028条)という制度が新設され,遺留分や寄与分についての内容も若干変わっています。これに合わせて遺言書を書き換えた方がよいケースもありますから,まずは一度ご相談ください。

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