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学校
2020.06.29

自主退学勧告を受けた場合

Q質問内容

息子が,通っている学校から退学を求められています。現在は自宅謹慎を命じられているのですが,どうすれば良いですか。

A回答内容

学校側が在学生に対して退学を求める場合,通常はいきなり退学処分をおこなうのではなく,「どうせあなたは退学処分だから,その前に自主的に退学したほうがあなたのためにも良い」等,ご相談のように自主退学するように説得してくることが一般的な流れです。

この自主退学勧告は,後述のとおり法的な根拠に基づく懲戒処分としての退学処分ではなく,あくまでも在学生自身による自主的な退学を勧めるものです。この勧告応じてしまえば当然に(自主)退学になってしまいますから,退学を受け入れない場合には,明確な形で,退学勧告に応じない意思を示すことが重要です。

ただし,明確に意思を示したとしても,学校側において,自主退学勧告と自宅謹慎命令を続けることケースがあります。何らの懲戒処分を下すことなく,自宅謹慎命令を続ける場合は,根拠なく,在学生と学校との間の契約に基づく学校側の義務(講義等をおこない,教室等の施設の使用を許可する義務)に反することになります。ただし,自宅謹慎処分自体は,懲戒処分を決するための調査期間として認められるため,その程度に応じて検討する必要があります。

自主退学勧告を拒否しているにもかかわらず,処分をされることもなく,自宅謹慎が続く場合には,復学のために必要に応じて法的手段を取ることになります。

具体的な方法ですが,早期解決を図る必要があるため,通常の訴訟手続ではなく,仮処分(仮の地位を定める仮処分)を申し立てることになります。

なお,自主退学勧告ではなく,正式な懲戒処分としての退学処分を出された場合,退学処分自体を争うことになりますが,この場合においても,上記同様仮処分の申し立てが一般的です。

具体的な審理ですが,学校における退学処分には,学校長の裁量が認められていますが,社会通念上の合理性を欠くような退学処分はその裁量を逸脱する無効な処分であるとするのが裁判例です。具体的な裁量の範囲は明示されていませんが,学校教育法施行規則26条3項は,性行不良で改善の見込がないと認められる者,学力劣等で成業の見込がないと認められる者,正当の理由がなくて出席常でない者,学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者のみに対してすることができる,と定めているため参考になります。

そのため,退学処分を受けた場合(あるいは現在自主退学勧告を受けており,その後退学処分を受ける可能性がある場合)には,上記の基準や他の裁判例等に照らして,その処分の妥当性を検討する必要があります。その前提として,学校によっては,正式な退学処分の理由や根拠を明確にしないままに手続を進めることがあり得るため,いつ,いかなる根拠及び事実に基づき処分を科すのか,を学校側に明確にするよう求めなければなりません。

以上の検討の結果,事実関係によっては,懲戒処分としての退学処分が妥当であり,自主退学勧告を受け入れたほうがより有利というケースもあります。

学校と在学生との関係性から,不当な処分であっても受け入れるしかない,と考える前に,早い段階で一度ご相談ください。

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