Q質問内容
子どもが児童相談所に一時保護されました。今後どうなってしまいますか。
A回答内容
児童相談所による一時保護は,児童福祉法33条に定めがあり,「児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため」におこなう緊急かつ暫定的な措置をいいます。この一時保護は,児童相談所所長の職権によりおこなうことができますから,保護に親権者の同意は不要です。事前通告がないケースもあるため,突然連れていかれてしまった,とパニックになってしまうことも良くあります。
一時保護の期間は,一時保護の日から2か月を超えることはできません(児童福祉法33条3項)。ただし,「必要があると認めるとき」には2か月を超えても引き続いての一時保護ができます(同条4項)。
もっとも,この引き続いての一時保護について親権者が同意をしない場合には,原則として児童相談所は一時保護の継続のため,2か月ごとに家庭裁判所の承認を得る必要があります(同条5項)。
法律上(児童福祉法33条8項),一時保護の継続は児童が満20歳になるまで可能ではありますが,上記のとおり一時保護はあくまでも一時的な措置であることから,比較的早期の段階で,児童相談所は次の措置を決定することになります。
一時保護後の措置としては,大きく分けて①在宅指導と②児童養護施設等への入所があります。①在宅指導とは,一時保護を解除して,児童を自宅に帰宅させたうえで,指導等をおこなうものですが,児童又はその保護者に訓戒を加え,又は誓約書を提出させることもあります(児童福祉法27条1項1号)。これらの措置のいずれを取るか,あるいは一時保護期間を継続するかを決めるための児童相談所内の会議(援助方針決定会議)は,上記のとおり2か月という期間が経過してしまう前に親権者の同意を取る必要がありますので,親権者の同意の意思が明確ではないケースにおいては,(最初の一時保護期間の場合)おおよそ保護から40日から45日前後でおこなわれることが多いといえます。
①の在宅指導が児童の帰宅を前提とするものである一方で,②児童養護施設等への入所措置(児童福祉法27条1項3号)は,「乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設若しくは児童自立支援施設」に児童を入所させる措置になります(ほかにも里親等への委託もあります)。この②入所措置ですが,上記一時保護とは異なり,入所措置の期間は定められていないため,入所期間は数年に及ぶこともありますが,入所措置について親権者の同意がない場合は,上記一時保護の継続の場面と同様に家庭裁判所の承認が必要になります。
なお,入所措置に際して家庭裁判所の承認があった場合には,その期間は2年を上限とし,これを超える場合には改めて家庭裁判所の承認が必要になります(児童福祉法28条ただし書)。
以上が大まかな流れです。親権者による同意,あるいは家庭裁判所の承認が求められる一時保護の継続時及び児童養護施設等への入所措置時が重要なポイントになります。
もっとも,漫然と対応してしまうと,その重要性をあまり意識せずに安易に一時保護の延長の同意をしてしまったり,入所措置の同意をしてしまったりすることになってしまいます。また,事前準備が不可欠であるにも関わらず,十分な対応ができないまま形式的に手続が進んでしまうこともあります。それらを回避するためには,まず正確に現在の状況と今後の見通しを知る必要があります。まずは早い段階で一度ご相談されることをお勧めいたします。